(右より 久田さん(キャラクターデザイン)、吉池さん(美術デザイン)、深澤さん(シリーズディレクター)、山口勝平さん)
勝平:7月31日(日)からゾウ編に突入しましたけれども、ドレスローザとは世界観もキャラクターもガラッと変わったので、今日はその辺のお話をスタッフの方にお伺いしたいと思います!まず、お一人ずつ自己紹介をお願いします!!
深澤:シリーズディレクターの深澤です。
吉池:シリーズの美術を担当しております吉池です。
久田:シリーズのキャラデザの久田と申します。
勝平:よろしくお願いします!
深澤・吉池・久田:よろしくお願いします!
■ゾウ編はこれからのストーリーのプロローグ
勝平:というわけで、いきなりざっくりですけどゾウ編に入っての率直な感想を教えてください。
深澤:ざっくりですね(笑)。『ONE PIECE』って作品としての大きな流れはあるんですけど、行く場所によってストーリーもキャラクターも変わるので、新鮮な気持ちでできますね。
あと、ゾウ編とは言いつつこの後に続く壮大なストーリーのプロローグでもあるので、『ONE PIECE』にとって重要なところかなと思います。
勝平:そうそう、ファンがぴくん、ぴくんってなりそうなキーワードが結構出てきますよね。では、吉池さんはいかかですか?
吉池:大筋に関わる根深い伏線が見え隠れてしていて、僕は何編って言うより地続きな感じがしてますね。
勝平:伏線ではないけど、わしゾウ編だとくじらの木が本当に好きなんですよ。原作で見たときも思ったけど、アニメでもゾウに着いて一番最初の印象的なシーンってこれじゃないですか。毎回すごいな~と思いながら見てます。
吉池:線画しか資料がないから尾田さんが面白いと思って描いたのか、不思議と思って描いたのかわからないから「この木なんです?」って聞いたんですよ。僕としては最初化石かなって、それで「その昔…」みたいな話があるのかと思ったら「木です」って(笑)。
勝平:本物のくじらだったら、どうやって来て化石になったのかとか色々想像できますもんね。久田さんはどうですか?尾田先生の絵をアニメーション用に描き起こすときのポイントってあるんですか?
久田:原作のイメージをいかに損なわないようにするかに注意していますね。線を省略しすぎても違くなってしまうので。
勝平:キャラデザインって実際にアニメーターさんが動かすための設計図じゃないですか。でも、ただ単純化させればいいっていうわけじゃないんですね。そして、それを皆に伝えるのもまた大変ですよね。
久田:そうですね。
勝平:今回、動物を擬人化したキャラが多いですが、描いてて楽しいとか、難しいとかってキャラはいますか?
久田:う~ん、擬人化キャラというより女性が難しいです。
勝平:あ、わかります!わしもホワイトボードとかに描くとき大変(笑)。
イヌアラシ公爵とネコマムシの旦那はどっちの方が描きやすいとかありますか?
久田:ネコマムシの方が表情豊かで楽しいですね。
勝平さん、深澤監督、吉池さん、久田さんありがとうございます。特別版ではストーリーやキャラクターについてさらに詳しく聞いちゃいますよ!
ONE PIECE.com特別版!!
ワンピースオフィシャルメールマガジン『グランドライン通信』では、7月30日(日)放送回よりスタートしたゾウ編について、シリーズディレクターの深澤監督、美術デザインの吉池さん、キャラクターデザインの久田さんにお話を聞きました。特別版では、ストーリーやキャラクターについて色々と聞いちゃいましたよ!
■ゾウ編のキャラクターの配色がかわいい
勝平:ゾウ編って回想シーンで語られていくので、動きとしてはそんなにないじゃないですか。その辺の難しさってあるんですか?
深澤:そうですね。回想シーンでの出来事をいかにこんなことがあったんだっていう驚きをもって見せられるようにするかですよね。あと、イヌアラシ三銃士も原作ではそんなに戦ってないんですけど、強さというかかっこよさを見せたいので、尾田さんに確認しつつできる範囲で戦わせています。
勝平:イヌアラシとネコマムシもそうですよね。原作では描かれていな戦い方ってみんなで話し合って決めていくんですか?
深澤:そうですね。ただ、今わかる範囲で踏み込み過ぎない程度にはなっちゃいますけど。
吉池:僕らの場合、少し先の展開なんかを聞いていたりすると、それがいいときもあるし逆もまたしかりだったりするんですよ。
アニメは漫画と違って現在進行形で進むので読み返せないですよね。倒置法で物語が進む場合、思い出して欲しいシーンを入れる方が親切なんだけど、わざとらしくなっちゃう。だから、先にちょっとでも匂わせておくのか、とかね。
勝平:それをやることによってネタバレしちゃうことがいいのか悪いのかってことですよね。一週見逃したらわからないじゃなく、小さな子供も楽しむという視点で考えたら時にはしつこいくらい同じことを繰り返してあげなきゃいけないわけですね。
ちなみに、くじらの木みたいな大きなランドマークがある場合って、描きやすい、描きにくいどちらですか?
吉池:描きやすい、にくいより、どう効果的に見せるかですよね。旅番組とかで「さぁ、こちらです」って言うまで目標物を映さないじゃない、あれに似たようなことをするわけですよ。一回忘れるっていうのも演出法ですよね。
勝平:なるほど。
今回、街自体は廃墟というか殺伐としたなかに出てくるキャラクターがカラフルですよね。着色を決めるときって何パターンもあげるんですか?
深澤:重要なキャラクターの場合は色指定の方に一度塗ってもらって、こちらで吟味したものを尾田さんにも確認をとります。最初ネコマムシはもうちょっと地味だったんですけど、尾田さんとのやり取りのなかでかわいらしさを出したいということで、腹巻をピンクにしました。
勝平:めちゃめちゃかわいいです。イヌアラシ公爵とか、三銃士も配色にかわいげがあります。久田さんはキャラクターを描き起こしているとき色について考えたりしますか?
久田:色というか質感、柔らかい布なのか皮なのかとかそういう方向ですね。あと、暗い部分には影を入れるよりハイライトを入れた方が効果的なので、暗いなと思った部分にはハイライトを入れて色が経つようにしておくくらいで、色についてはあまり意識していないかも。
勝平:へぇ~!そうなんですね。
吉池さんはどうですか?イメージボードのなかに「りゅーのすけの半イメージ的扱いの夕陽」って書いてありますね。例えばこれはどういったことなんですか?
イメージボードの一部
イメージボードの一部
吉池:あの茶番のシーンは、青春の夕陽と同じにしようと決めていたので、それ以外はオレンジ色は使ってないんですよ。あと、6時になると夜の王・ネコマムシの時間になるじゃないですか。でも、イヌアラシが引いてネコマムシが登場するまでってものの2~3分なんですよ。だから、空の色って本当だったらそんなに変わらないんですけど、視覚的にわかるようネコマムシの時間は妖怪が出てきそうな色を使ってます。
勝平:こういうの聞くと軽く見てしまってすいませんじゃないですけど…(笑)
深澤:いえ、いいんです、軽く見てください(笑)。
■象主(ズニーシャ)もキャラクター
勝平:ゾウ編で好きなキャラクターはいますか?
深澤:僕はりゅーのすけとバリエテですね。
吉池:すごいな~、出世するタイプだな~(笑)。
久田:僕は、あえて選ぶとしたら象主(ズニーシャ)ですかね。
勝平:象主(ズニーシャ)ってキャラクターなんですか!? ということは、作画も描いている?
久田:基本的には。上は吉池さんに描いてもらっていますが…
勝平:ゾウ編に入って、アイキャッチやまくら(本編の前に入るプロローグのこと)も変わりましたけど、視聴者からの反響ってありました?
深澤:そうですね、手配書に変わっていいですねってご意見をいただきました。昔のアイキャッチのオマージュじゃないですけど…吉池さんから提案いただいて、扉絵シリーズの5億の男編(「世界の甲板から~5億の男編~」)を元に、それぞれの街に手配書が行くようにしたんです。
吉池:ただ、原作の構図と同じにはしたくなくて、手配書が落ちてきたところを別アングルから見てるようにしたつもりです。
深澤:まくらも新世界に入ってからの説明だったんですけど、初めて見る人にもルフィたちが何をしようとしているのかわかるようにしました。ちょっと説明し過ぎるきらいもありますけど。
勝平:では、最後にこれから注目してほしいシーンなどあれば教えてください!
深澤:基本、回想形式で話は進むんですが、ゾウ編は現実に戻ってもさらに盛り上がって面白くなっていくので、その盛り上がりを見ていただけたらと思います。
勝平:久田さんはいかがですか?
久田:ゾウ編はもちろん、次のシリーズの準備にも取り掛かっていて…
勝平:(笑)。物語は先に先に動いているという事ですね。楽しみです!
ありがとうございました!
深澤・吉池・久田:ありがとうございました。
勝平さん、深澤監督、吉池さん、久田さんありがとうございます。毎週日曜朝9時からの『ONE PIECE』をお見逃しなく!!