「エース役・古川さんとエース語りするぞ!」の巻(後編)

前回に続き、今回もエース役の古川登志夫さんにいろいろ聞いていきたいと思います!

勝平:今回DVD&Blu-ray「放送15周年特別作品ワンピース〝3D2Y〟 エースの死を越えて!ルフィ仲間との誓い」が発売されたわけですが、古川さんがエースを演じるのが、これでホントのホントに最後かもしれないですね。

古川:そうですね。エースはもう死んでいるから、最初「またエースのシーン録ります」っていわれて、「ホントですか!?」ってビックリしました。

勝平:しかも、今回のストーリーはいきなり頂上戦争のクライマックスからでしたもんね。

古川:そうなんです。でも、アフレコスタジオに来るのがすごく楽しみでした。
TVシリーズのときは、エースが死ぬ回にスタジオに来るのが、嫌だったんですけど、今回はもう一回、あのシーンができるのかぁ! と嬉しかったです。
ただ、TVシリーズのときの再現ができるのかなと、ちょっと不安でした。

勝平:前にやったエピソードをもう一度演じるとき、役者って結構前の演技をなぞっちゃったりしますからね。

古川:そう。しかもファンの方はよく見ているからね。でも新録で、絵も少し変わっていたので、それなら大丈夫かなと思い、楽しくやらせていただきました。

勝平:久しぶりにルフィとも共演だったんじゃないですか?

古川:そうですね。
あのシーンは、とにかくルフィ役・田中真弓さんの泣きの芝居がすごくいいんです。「死なないって約束したじゃないか!!」って泣きますよね。あのとき田中さんは本当にボロボロ涙を流していて、周りの人はみんなもらい泣きですよ。その芝居に僕もすごく助けられました。
 

勝平:エースっていうだけで泣けるくらい印象的なシーンですもんね。
頂上戦争のクライマックスといえば、エースの「愛してくれて………ありがとう!!!」っていうセリフが衝撃的ですよね。

古川:そうですね。あのセリフがキーワードですよね。エースを語るときに、あのセリフ抜きでは語れない。
二十歳そこそこで、死ぬ際に感謝して死ねるということにもビックリしますし、あの若さで「愛してくれて………ありがとう!!!」ですもんね。

勝平:エースってゴールド・ロジャーの息子として生まれてきて、悪魔の子と忌み嫌われていたので、家族や絆に拠り所を求めていたんですかね。
エースの過去が語られていくうちに、ずっと誰かに愛されたかったのかなって思いました。
 

古川:僕が一番印象的なのは、赤犬の攻撃で体に穴があいてしまうところなんです。背中の白ひげ海賊団のマークが、十字架を背負っているように見えるんだけど、攻撃でこの十字架もぶっ飛ぶわけです。
これが、神様から「生まれてきてよかったんだよ」と許されているように感じられて…。

勝平:あぁ…十字架を外されたってことですね。

古川:はい。僕は勝手にそう思っていて、すごく印象に残ったシーンなんです。

勝平:だめだ、その話だけで泣けてしまう。

古川:辛いけど、好きなシーンです。
一瞬助かったかに見えて…というところからの展開なので、悲しいところなんだけれど。

勝平:ルフィがエースの元にやって来たとき、「おれの言う事もろくに聞かねェで、無茶ばっかりしやがって!!!」っていう、あのシーンで「やったー!!」って思ったんですけどね。

古川:一瞬助かった、と思わせるような作りでしたからね。

勝平:「行けるかルフィ?」ってエースが聞いたときの、ルフィのものすごく楽しそうな顔があるから、余計にエースが死んじゃった後のルフィの絶望がもう! せつないですよね。

古川:あそこのシーンはもう、泣かずにはできないですね。冷静にやろうと思うんだけどやっぱり泣いちゃいますね。
あと、僕は体に穴が開いてるんだから相当ダメージがあると思って、テストのときにダメージがあるかのような演技をしたんですよ。そしたら宮元監督が、「古川さん、何のダメージもないかのように安らかにやってください」と。「でも穴開いてるんですよ!?」って言ったら「全然苦しそうにやらないでください」と言われました。
オンエアを見たらその狙いがよくわかりました。

勝平:あのシーンの表面上に出てこない思惑まで考えるとたまらない気持ちになってきますね。
話は変わりますがルフィって、どんな弟って感じですか?

古川:「できの悪い弟を持つと………兄貴は心配なんだ」っていうセリフがありますけど、「できの悪い」って言いながらも大事に思っている、愛している弟ですよね。

勝平:そうですよね。だから最初にアラバスタでエースに会った時は、律儀な人なのかな?って思ってました。

古川:そうそう挨拶(笑)
よろしくお願いします!みたいな(笑)

勝平:ほんとにずーっとルフィのことを気にかけてたんでしょうね。
最初に登場した時は、ひょうきんな兄ちゃんみたいな印象だったんですけど。初登場と最後のシーンの対比がすごいですよね。
そういえば、エースが最初に登場したアラバスタ編では、旅に同行していた時期がありましたよね?

古川:そうでしたね。焚き火を囲んで話をしたり、色々やりましたね。
あのまま一緒に旅を続けたかったですね。そうもいかなかったですけど。
ずーっと生きていて時々出てくるんだろうと思ってたので、まさか亡くなってしまうとは思いませんでした。

勝平:エースの死によって、ルフィが成長するというストーリーはすごいですよね。

古川:ストーリーが進むにつれて、危ないなっていう予感がしたとき、スタッフに聞くんですけど、絶対に教えてくれませんでした。
「それはエース役の古川さんでも極秘ですので教えられません。」とか言うんですよ。それで「あ、死ぬんだなぁ」と思って、覚悟しました(笑)

勝平:それを聞いて、わしは密かに最期にエースがなんて言うのかものすごく気になっていたんです! そしたら最期に「愛してくれて………ありがとう!!!」って…
ほんとにもう、尾田先生は言葉の選び方が神懸かってるなって思いました。
 

勝平:最後になりますが、2001年12月9日にエースが初登場してから13年経ちましたけど、最初に演じられた時から役作りは変わりましたか?

古川:そうですね。最初は、強くてかっこいい二番隊隊長というイメージで演じていました。なので、「できの悪い弟を持つと………兄貴は心配なんだ」というセリフも、最初はわりと突き放した感じに言っていましたね。だけど、途中から弟思いなところが出るように語尾のところをソフトにしました。

勝平:それは、だんだんエースの過去が明らかになってきたからですか?

古川:はい。エースの心の闇みたいなものを、語尾のニュアンスの落差で出せればいいなと考えて演じていましたね。

勝平:古川さん、ありがとうございました! 頂上戦争のクライマックスも描かれている「3D2Y」のDVD&Blu-rayは、好評発売中なので、何度も観て楽しんでください!


ONE PIECE.com特別版!!

『ONE PIECE』オフィシャルメールマガジン『グランドライン通信』では、エースの最期について山口勝平さん&古川登志夫さんにとことん語っていただきました。特別版でもお2人のエース語りは、まだまだ止まりません!


勝平:そういえば、エースって面白い技をいっぱい使いますよね。

古川:そうですね。「神火 不知火」とか、いろいろありますね。

勝平:エースの技で、どれが一番好きですか?

古川:「炎上網」です。ユニバーサル・スタジオ・ジャパンでやっているプレミアショーでも、「炎上網」の部分はカッコよくて好きなシーンです。

勝平:あれはカッコよかったですね。あとは、ルッチと戦った時の「大炎戒」でしたっけ?
 

古川:「大炎戒」。「大炎戒」も僕好きなんですよ!

勝平:「大炎戒」もかっこいいですね!

古川:「大炎戒!!」って、字は違うんだけど大きな宴会をやるみたいな感じがして、好きです(笑)

勝平:「十字火」はフィギュアもかっこいいですね。

古川:そう!最近はフィギュアのクオリティが上がっていて震えちゃう!
売っているのを見ると、つい買っちゃうんですよ。なので、またケースを増やしています(笑)

勝平:古川さんはフィギュアとか、キャラクター愛がすごいですよね!

古川:そうですね。家には『ONE PIECE』とほかの作品も含め、フィギュアは1200体くらいはありますね。

勝平:うひぇ~~~!!でも、ほんとカッコいいですからね。
しかし、エースってファンにずっと愛されていて、生きていた時よりも亡くなってからのほうがなんか…
 

古川:亡くなってしまうとレジェンドになるっていうところもありますよね。

勝平:そうなんです。商品もそうですけど、エースのコスプレをしている方も多いですからね。

古川:『ONE PIECE』だけのコスプレイヤーさんが集まっている集会や海外のコンベンションもあるんですよ。『ONE PIECE』のキャラクターが何十人もいてすごかったです!

勝平:海外のコンベンションって面白いですよね。海外の方が、エースのコスプレをしているのが、また似合うんですよね!

古川:そう!アニメから抜け出してきたようなね!

勝平:エースのスタイルが、もともとアメリカンだから余計に似合うんでしょうね。


2週にわたり、古川さん、勝平さんありがとうございました!頂上戦争からの空白の2年間を描いた「放送15周年特別作品ワンピース〝3D2Y〟 エースの死を越えて!ルフィ仲間との誓い」のDVD&Blu-rayを観て、『ONE PIECE』の世界に浸っちゃいましょう!

ONE PIECE 〝3D2Y〟エースの死を超えて!ルフィ仲間との誓い

発売日:

発売中

発売元:

エイベックス・ピクチャーズ

価格:

初回限定版Blu-ray7,000円+税、初回限定版DVD6,000円+税
通常版Blu-ray5,500+税、通常版DVD4,500+税

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