■あの頃に比べて、ゾロであることに少し自信が持てるようになったように思います(中井)

──アニメ放送開始時、初めてゾロを演じた際のエピソードをお聞かせください。
中井:ゾロが喋るのは第2話からなのですが、実は第1話のアフレコに見学に行っていました。その時から…いやそのずっと以前から緊張感がすごく高まっていました。というのも、「ものすごい作品であることは間違いない」と実感を持っていましたし、この先もビッグタイトルであり続けるだろうと感じていたので、そんな作品の重要なキャラクターであるゾロの第一声ということで第2話はすごくドキドキでした。ましてや、周りは大先輩・大ベテランの皆さんですし、大変な緊張感であったことは鮮明に覚えています。
──主演の田中真弓さんを始めとした共演する先輩をどのように感じていましたか?
中井:僕が見ていた作品に出ていた方ですからね。ファンとして聞いていた声優の皆さんが目の前でアフレコしているので、「ここに居ていいのか?」と(笑)。その一方で、「やるしかないんだ」とも、「本当にやれるのか?」とも思いました。
──当時の〝東の海〟編アフレコの時の思い出などありますでしょうか?
中井:昔の台本をふと見返したことがあるのですが、「効果的な書き込み」は、一つもできていませんでしたね(笑)!!「こんなところに注意書きを書いても意味ねーだろ!!」みたいな、ぼんやりした書き込みばかりで、「この時のゾロはどういうことを考えていて…といった心情を、この人(若いころの中井さん)は、わかってるのかなぁ?」と自分で思ったくらいです(笑)。多分「とにかくしゃべらなきゃ!」ということに必死だったんだと思います。
──そういう点では、17年間ゾロを演じた上で、改めて〝東の海〟編をアフレコしたことで、変わった点はありますか?
中井:あの頃に比べて、ゾロであることに少し自信が持てるようになったように思います。当時は、ゾロの喋り方をずっと頭の中で考えていたんです。けど今はあまりごちゃごちゃ考えずに、物語の中にちゃんと自分の気持ちが入っていけば、しゃべる声は自然とゾロになるんだと思えるようになったと感じています。
──〝東の海〟編を改めて演じる上で、注意したところは?
中井:例えば「ルフィ!」と名前を呼ぶだけで今なら当然にじみ出てくる信頼感や親しみの感情は、〝東の海〟編の段階ではまだあまりないんですよね。まっさらな気持ちになって演じるようにしました。ただ、今回演じるシーンは、ゲームなどでも再び演じることがあったので、そこまで難しく考えずにできたと思います。
──改めてミホークと戦ってみて、いかがでしたでしょうか?
中井:ゾロがここまで完膚なきまでにやられることは最近はないので、ゾロの原点を見たような気がしています。演じる際はある種の「みっともなさ」はしっかり出せるように心がけました。
そして、弟子入りするならミホークだろうなぁと(笑)演じていてすごく納得しました。

──今回のテレビスペシャルでオススメのシーンは?
中井:ナミ編のエピソードはオススメですね。「何回観てるんだよ!」って自分で思うくらい観ていますが、台本を見るだけでもじわっと来ました。アフレコ中もやっぱり「ルフィ助けて…」から「当たり前だ!!」までの流れで、感極まるものがありました。その後は、ルフィが「いくぞ」と言ったらすぐに「オオッ!!!」と言えるように内心ソワソワしつつ(笑)。何回演じても心が揺れ動いてしまいますね。


──大塚隆史監督からなにかオーダーはありましたか?
中井:僕だけにではなくて全体に向けてですが「当時の芝居をトレースしようとしなくていいです」と。「我々スタッフも変わった。皆さん声優陣も変わった。だから、今できる最高の作品を作りましょう」とおっしゃっていました。
当時の自分との違いを感じるシーンはありましたが、それは「変えてやろう!」という意識があって変えたわけではないです。
──今回のテレビスペシャルに向けて、当時の演技の確認などはしましたか?
中井:いえ、今回は確認をせず、ニュートラルな気持ちで入りました。絵や演出も変わっていますから、それに合わせると必然的に変わったという感じですね。昔の若い演技のまま演じても、今の絵にはフィットしませんから。
中井さん、ありがとうございました!
土曜プレミアム『ONE PIECE エピソードオブ東の海(イーストブルー)~ルフィと4人の仲間の大冒険!!~』の放送まで残り4日!明日はウソップ役山口勝平さんの登場です!
土曜プレミアム『ONE PIECE エピソードオブ東の海(イーストブルー)~ルフィと4人の仲間の大冒険~』
- 放送日時:
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2017年8月26日(土)21:00~23:10
- 放送局:
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フジテレビ系列
- 原作:
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尾田栄一郎 週刊「少年ジャンプ」(集英社)連載中
- 企画:
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狩野雄太(フジテレビ)、櫻田博之(東映アニメーション)
- 監督:
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大塚隆史(TVシリーズ各話演出)
- 脚本:
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中山智博(TVSP『"3D2Y"エースの死を越えて!ルフィ仲間との誓い』脚本)
- キャラクターデザイン:
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佐藤雅将(映画『FILM Z』『FILM GOLD』キャラクターデザイン&総作画監督)
- 制作協力:
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東映
- 制作:
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フジテレビ・東映アニメーション
(C)尾田栄一郎/集英社・フジテレビ・東映アニメーション