第837話
マム誕生 カルメルが消えた日

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ヨルルの剣を片手でなぎ払い、ひげを掴んで力任せに地面へ叩きつけるリンリン。しかし、マザーの指示でお祭り用のセムラが届くと、食べることに夢中になっておとなしくなる。火の勢いが強すぎて、見ていることしかできなかった炎を前にしたマザーは、パンドラと名づけて自分に従うよう命令すると、たちまち炎を沈めてしまう。奇跡だとおどろく巨人たち。重傷を負ったヨルルが助からないことを見抜いたヤルルは、仇であるリンリンを討とうとするが、彼女を連れて出ていくというマザーの命乞いをやむなく聞き入れる。

ヨルルの墓前でその死を悲しむリンリンだが、自分がしでかしたことは何一つ覚えていなかった。だが、このことは世界各地にいる巨人族に伝わっていくのだった。ヤルルとの約束を守り、マザーは自分と離れるのを嫌がった子供たちとリンリンを連れてエルバフを離れた。そして、子供たちは新しい羊の家で平和な日常を取り戻していく。ある日、子供たちに留守番を言いつけ買い出しに出かけたマザーが訪れたのは海軍の船だった。CPの面々を相手にしたマザーは、子供に見せる顔とは別人のような笑みを浮かべ、写真を提示した。

マザーがエルバフを出たのはリンリンを手放さないためだった。提示した金額を渋るCPに、リンリンはわずか5歳で巨人族の村を半壊させた逸材であると強気の交渉を続けるマザー。37年前、巨兵海賊団の生き残りを助けたのも海軍と手を組んだ芝居で、それにより巨人たちから信頼を得て、巨人族を海兵に仕立て上げていた。以来、聖母の仮面をかぶり、2年ごとに育てた子供たちを密かに海軍に売り飛ばしていたのだ。身よりのない子供たちは売り飛ばすのに足がつかず好都合、マザーはリンリンたちを最後に足を洗おうと考えていた。

売り飛ばす前にお祝いをしてやると薄ら笑いを浮かべるマザー。翌日、誕生日のお祝いに仲間たちから大好物のセムラでできたクロカンブッシュをプレゼントされたリンリン。優しいマザー、仲良しの友だち。甘いセムラのバースデーケーキを頬張り、うれし涙をあふれさせながら夢中になって食べ続け、幸せ一杯のリンリンはお茶会が大好きになる。しかし、セムラを食べつくし気がつくとみんなの姿はどこにもなくなっていた。なぜいなくなってしまったのかわからず途方に暮れるリンリン。そして現在、奇声をあげ、なおもマザーを求めるビッグ・マム、いったい過去に何が起こったというのか?!

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脚本

田中 仁

演出

細田雅弘

作画監督

横山健次 福本泰子

美術

吉池隆司

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