舞台役者でもある2人が独自の視点で語る劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』の見どころに注目!!
――二人は今回共演が初めてとのことですが、収録を終えてみていかがですか?
田中: 私も磯部さんも舞台役者でもあるので、共演は初めてなんですけど磯部さんのことはよく知っていました。ダグラス・バレットの迫力ある演技を見せていただいた今ですと、お顔を見たときに「あ、良かった。優しい人だ。怖い人だ。」って思いました(笑)。バレットはちょっと怖い人だったので…。
磯部:私も舞台を見て田中さんのことはよく知っていました。自分が『ONE PIECE』の声優なんてできるのかな、と不安に思っていたのですが…収録後、田中さんもお疲れでいらっしゃったので、正直ちょっとホッとしてしまいました。これでもし、田中さんが平然としていたらどうしようかなと思っちゃって…(笑)。
田中:台本の何ページ分も「うおおおお!」って言ったりしてましたもんね。いつまで「うおおおお!」って言うのかなって思いながら見ちゃいました。
磯部:自宅で「うおおおお!」って叫ぶシーンを練習してみたんですけど「いや、これはなかなか大変だな」と(笑)。現場に入ってから色々と工夫して、精一杯演じさせていただきました。
――それほど熱のこもった演技をされたということですね…!
磯部:『ONE PIECE』ってものすごいテンションの高い作品なんですよね。そのテンションに乗っかりきれるかな…っていうのは不安でした。実際に乗っかりきれたかは作品を見て判断していただくしかないのですが、全力で役に当たらせてもらいました。
余談ですが、娘に『ONE PIECE』の声優をやることを伝えたらものすごい大喜びされまして、やっぱり『ONE PIECE』ってものすごい作品なんだなあと実感しましたね。
――劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』の中で、印象的なシーンやセリフはありましたか?
田中:ダグラス・バレットの人生でしょうか。自分は孤独だって言うシーンがあるんですけど、スゴくかわいそうだなって。自分には仲間がたくさんいるから、なおさら印象的でした。バレットはめちゃくちゃ強いから、孤独になってしまったんですかね…。私はリーダー論みたいなものをルフィから教えてもらっているので、バレットの考えはやっぱり間違いだなって思っちゃいました。ルフィの「おれは助けてもらわねェと 生きていけねェ自信がある!!!」ってセリフがあるんですけど、一人で何でもやるんじゃなくて、みんなに助けてもらうことも含めてリーダーなんですよね。今回の映画では、そういうリーダーとしての姿勢みたいなものを強く感じられました。あとは、サボに会えたことが凄く嬉しかったです(笑)。
『ONE PIECE』10巻
自分ができないことを正直にさらけ出し、アーロンに立ち向かうルフィ。
磯部:ボクは、バレットにとっても共感できたんですよ。「一人だからこそ強い」っていうバレット考え方に似たものは、自分の中にもあるんです。ボクは以前、「他人に気を許す」ということができませんでした。その頃は、自分の世界に他人が踏み込んでくるのがとにかく嫌だったんですけど、そんな状態が続くと「自分の強さ」というものをムクムクと夢想できるんです。バレットも似た状況だったんじゃないかなあ。彼の場合は精神的な強さだけじゃなく、実戦での強さも兼ね備えているので、より強く感じてしまったのかもしれないですね。その姿が格好良くて、「一人の強さ」というものを突き詰めて欲しいって、ちょっと応援する気にすらなっちゃいました(笑)。
でもやっぱり、仲間がいるということ、自分の身を預けられるところがあるというのは素晴らしいよなって、ボクもいい歳になって、分かるようになりました。まあ、まだ人を信じるのは苦手だったりするんですけど(笑)。
劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』にてルフィの前に立ちはだかる「“鬼”の跡目」ダグラス・バレット
田中:実はそういう役者さんって多いですよね。スタジオで誰も寄せ付けないオーラを持っている方とか。
磯部:そうですね。でもボクは、演劇・お芝居で「人を信じる」ということに対するリハビリを受けていたような気がします。相手を信じないと、舞台はできませんからね。
――田中さんは、TVシリーズと劇場版の役作りに意識の違いはありますか?
田中:いや、もう全然ないです! とっても自然に演じさせてもらってます。もう20年もルフィたちの声をやらせていただいていると、尾田っちもアニメスタッフさんも、私たちがどう芝居するかを自然にイメージしてくれているのかなー、なんて考えていますけど…。なので、TVシリーズだからとか、劇場版だからとかで意識を変えることはないですね。
――磯部さんは、今回の役のために何か特別な役作りなどはされましたか?
磯部:役作りというのかはわかりませんが、バレットに関する年表を見たときは凄くびっくりしたし、勉強になりました。バレットが、なぜ今のバレットになっていったのかが事細かに書かれているんです。その資料(※)があったおかげで、バレットに入り込むことができたと思っています。
※「ダクラス・バレットの人生」は劇場入場者プレゼントの『ONE PIECE』コミック –巻壱萬八拾九(バンパク)-に収録されています。
「バレットがなぜこんなセリフを言うのか」という疑問の答えは、全部この資料に書いてありました。この設定を頭に入れたうえで「いったいどんな声が出てくるか」というのは、自分自身でもわかりませんでしたが、そこが楽しみでもありました。
でも、役者って割とみんな同じじゃないですかね? 実際に自分で演じてみて「あ、こんな声が出せた!」とか「こんな表現できちゃった!」ってなるものかなと。ボクは、あんまり計算ずくでやったことはないですね。
田中:うんうん、わかります。結構みんなそうだと思います。
磯部:なので、ボクもかなり自然体で演じられたと思います。あとは、監督がボクの表現をどう感じ取って、使ってくれるかですね(笑)。
――先ほどのバレットの資料について、印象に残ったところはありますか?
磯部:資料に「一人に追い込まれた人間が発揮する限界を超えたパワー」ってあるんですよ。よくボクらって舞台の上でセリフを忘れちゃったりするんですけど、そういうときにこのパワーを感じることがあります(笑)。舞台の上で役者って孤独ですからね。確かにそういうパワーっていうのはあるなって思います。まあ、実際にはそのパワーって出てくるときと出てこないときがあるんですけど(笑)。
田中:役者ってそういうの誰でもあると思いますよ。私もこの前の舞台で、持っていなきゃいけない小道具を忘れちゃってピンチになったり…。でも、その「追い込まれた人間が発揮する限界を超えたパワー」で対応して、何とかしているんです(笑)。
磯部:いやいや、やっぱりよくありますよそういうの…。
――なるほど、役者さんはバレットの生き様には人一倍共感できるのかもしれませんね…。では最後に、これから劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』をご覧になるファンの方々にメッセージをお願いします。
田中:これまでとは、スケールが違います! あなたの会いたいキャラクターが、きっと出てきます。
磯部:ボクもそう思いました。ひとりひとりにお気に入りのキャラクターがいると思いますし、新たに魅力を感じるキャラクターもきっと出てくると思うので、劇場に会いに来てもらえればと思います。それと、バレットにもちょっとは共感してもらえると嬉しいですね(笑)。
田中:共感してもらえると思いますよ! ぜひ、皆さんに見てもらいたいです!
――田中さん、磯部さん、ありがとうございました!
劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』は絶賛公開中!
TVアニメ20周年を記念する、超特大スケールの作品となっています!
詳しい情報は、公式サイトをご確認ください!
劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』
- 公開日:
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2019年8月9日(金)
- キャスト:
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モンキー・D・ルフィ … 田中真弓
ロロノア・ゾロ … 中井和哉
ナミ … 岡村明美
ウソップ … 山口勝平
サンジ … 平田広明
トニートニー・チョッパー … 大谷育江
ニコ・ロビン … 山口由里子
フランキー … 矢尾一樹
ブルック … チョー
ダグラス・バレット…磯部勉
- ゲスト声優:
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ブエナ・フェスタ…ユースケ・サンタマリア
歌姫アン…指原莉乃
ドナルド・モデラート…山里亮太(南海キャンディーズ)
(C)尾田栄一郎/集英社・フジテレビ・東映アニメーション
(C)尾田栄一郎/2019「ワンピース」製作委員会