ウソップの、これはホントだ!


        

「作曲家・田中公平さんスペシャルインタビュー」の巻

2015/05/13

今回は『ワンピース』の主題歌やキャラソングなどを手掛ける作曲家・田中公平さんにインタビュー★ ファンなら誰もが口ずさめる「ウィーアー!」と「ウィーゴー!」の誕生秘話や、キャストの声を知り尽くす公平さんだからこそ知っているレコーディングの裏話など、見所満載だぞ★

勝平:公平さんとの付き合いは長いですけど、こんなふうに二人で話をさせてもらうのは初めてですね。

田中:そうだね。いつも有象無象のやからがいっぱいいるからね、こども船長(田中真弓さん)とか(笑)。

勝平:そうなんですよ(笑)。だからちょっと不思議な気がします。

さて、今日はグランドライン通信のウソップのコーナー「ウソップの、これはホントだ!」の取材なんですが…

田中:ウソップのコーナー!? すごいじゃないか!

勝平:はい、すごいです!(ドヤッ) 
「これはホントだ!」というコーナーなので、ウソはつきません!(ドヤッ)

田中:ドヤ顔しすぎ(笑)。

勝平:すみません(笑)。
とにかく、今日は公平さんに、『ワンピース』の楽曲制作について色々聞いちゃいます!
よろしくお願いします。

田中:お願いします。

勝平:では、さっそく最初にワンピースの曲を作ることになったきっかけを教えてください。

田中:最初は東映アニメーションの清水さん(アニメ「ワンピース」初代プロデューサー)から、「ちょっとすごい作品があるんだ」と声をかけてもらったんです。当時私も少年ジャンプを読んでたから、『ワンピース』と聞いて思わず「知ってる知ってるー!」って興奮しましたよ。
それに、清水さんが「この作品はアニメになったら絶対公平さんにやってもらおうって思ったんだ」と言ってくれたから、すごくうれしかったのを覚えていますね。

勝平:そうなんですね。実は、わしも清水さんから「いっしょに『ワンピース』やろうぜ!」という連絡を頂いたんですよ。ウソップは今でこそなじんでいてすごく演じやすいんですけど、今までにないタイプの役だったので、最初は結構悩んでいたんです。

田中:そうなの? 全然そんな感じしなかったけど。むしろ完璧すぎて「鼻、とんがってたっけ? 勝平」ってウソップと混同しちゃったぐらいだよ(笑)。

勝平:いや、とんがってないし(笑)。

田中:実は『ワンピース』の前に、ある東映アニメーション作品の主題歌のアレンジをさせてもらったんですよ。それが評価されて、『ワンピース』につながったのかなと思います。

勝平:へ~。『ワンピース』では、「ウィーアー!」が最初に作った曲ですか?

田中:そうですね。オープニングの映像を作るために、劇中で使われるBGMより先に書かなきゃいけなかったんですよ。

勝平:あっ、それ、わかります! 映像を作る必要があるからものすごく早めに曲を作らなきゃいけないんですよね。
「そげキングのうた」の時もそうでした。だいぶ先だと思っていたら、「今日中に作ってくれないと困ります!」と催促されて、アフレコ終了後に急いで作りました(笑)。

田中:それはすごいな(笑)。

勝平:「鼻歌でいいから歌って」と(笑)。
そういえば、「ウィーアー!」は歌詞より先に曲を作られたんですか?

田中:歌詞が先ですね。基本、私は歌詞をもらってから曲を作ります。歌詞の雰囲気に合う曲を作りたいから。

勝平:だからかな。公平さんの曲はミュージカル調というか、みんなに語りかけている感じがするんですよね。

田中:歌詞に寄り添うこと、それとイントネーションを絶対崩さないように意識はしていますね。だから、詞が先にないと逆に難しいです。

勝平:え、じゃあ、詞を見たらなんとなく曲のイメージが出てくるんですか?

田中:ダビデ像を作った彫刻家のミケランジェロって知ってますか? 彼は大理石の塊の中にダビデが見えていて、そのまま余分な石を削ってダビデ像を作ったんだって。私もそんな感じで曲を書き起こしています。

勝平:へ~、すごすぎる!! わしの場合と全然次元が違う(笑)。
そうして「ウィーアー!」の曲ができて、それからレコーディングですね?

田中:そう、そのスケジュールがまたすごかったんですよ。初めて詞を渡された時、「すみません、レコーディングが一週間後です」って言われて…

勝平:えっ~~~~~!!!

田中:まさに私も「えっ~~~~~!!!」って感じでした(笑)。そこから曲を2~3日で書き上げて、アレンジして、無事レコーディングしてできたのが「ウィーアー!」です。でもね、最初は周りの評判がよくなかったんですよ。

勝平:えっ!? 「ウィーアー!」がですか? なぜですか?

田中:当時は、あのような曲調にあまりなじみがなくて…新しすぎたのかもしれないね。今聞いてもぜんぜん古い感じがしないでしょう?

勝平:確かに昨年作った曲と言われても違和感がないですね。

田中:いつも“10年後にも残るような曲”を目指して作っているからね。だけど新しすぎることをやると、首を傾げられることもあるよ。

勝平:そういう時はどうするんですか?

田中:押し通す!(笑) いつもいいものができた自信があるから。

勝平:なるほど、さすがです(笑)。

田中:たとえば「ウィーゴー!」なんてね、歌詞の「心配なんて どこ吹く風」の「かぜ~~~~」から直接サビにつながるじゃない? そういう曲はあまり聞いたことないでしょ?
そういう風に今の音楽にない、新しいものを常に考えて曲を作っています。だから、プロの音楽家からは絶賛されるけど、ネットで不評になったりすることもよくある(笑)。

勝平:それはもう人それぞれなので仕方がないですけど、わしは好きですよ(笑)。
ちなみに、「ウィーアー!」と「ウィーゴー!」では、どちらのほうが作るの難しかったですか?

田中:そりゃ「ウィーゴー!」ですよ。「10年経ってるのに田中成長してねぇな」と言われるのはいやだなという思いがあったし…あと、「ウィーアー!」、「ウィーゴー!」どちらもルフィの動きを考えて書くのが大変でした。どういうことかというと、ルフィの走りって「だだだー」という一定なリズムじゃなくて、走ったり止まったり飛んだり伸びたりするじゃない?
そういう動きのある曲でないと、『ワンピース』の世界観とずれている気がするというか……。

勝平:そう言われてみれば、「ウィーゴー!」の「じっと出来ない」の「じっと」の部分は、ルフィがびゅーんと飛び出す直前の絵がすぐイメージできますね。

田中:そうそう。じーーーっと、びゅーん!って感じ。

勝平:これ、文字だけでわかるかな(笑)。

田中:あと、尾田先生から「小学校5年生の男の子が一番喜ぶ曲を書いてください」というリクエストもありましたね。
その通りだと思いましたよ。成長すると“萌え”とか余計な情報が入ってくるから、小学生が一番素直にカッコイイと思えたものこそが『ワンピース』の世界観にふさわしいものだと思いました。

勝平:少年ジャンプ王道のかっこよさと言いますか…

田中:そうそうそれ!

勝平:確かに「ウィーゴー!」はすごくカッコイイ曲だと思いますけど、「むずかしい曲」でもありますよね(笑)。

田中:難しいよ(笑)。歌手のきただにひろしくんも最初に聞いた時、「これ、どこで息吸うんですか?」って言ったくらいだから。私は、「吸わなきゃいいじゃん」と答えたけど(笑)。

勝平:鬼だ(笑)。だってこれ、「ウィーアー!」より格段に難しいですよ!

田中:でも、私は歌えたので、みんなも絶対歌えるはず!(笑)

勝平:いやいやいや(笑)。最近ウソップの歌も、息を吸う箇所が少なすぎてどうしようかと思ってるんですよ。
そういえば、キャラソンと、主題歌では作る時何か違ったりしますか?

田中:う~ん。私の中では主題歌もある意味キャラソンですから、あんまり違うという意識がないんです。
しいていえば、キャラソンは歌い手であるキャストのみんなのことを考えて書くところかな。
たとえばサンジ役の平田広明くんなら、「ここ難しいから、絶対平田くん文句いうんだろうな」と考えながら…(笑)。

勝平:付き合いが長いから、声だけじゃなく、わしらの性格まで知り尽くしていますもんね(笑)。

田中:今年の1月に発売された「ONE PIECE ニッポン縦断!47クルーズCD」でね、バギーの曲を作ったんです。レコーディングの前に、曲をイメージしやすいよう私が歌ったデモテープを千葉さんに聞かせたんです。
「千葉さんならこうするだろう」と考え、芝居の部分も入れてね。そしたら本人から「似すぎててヤだから、モノマネをやめろ」ってすごく言われました(笑)。

勝平:そうなんですよ。公平さんが自ら歌った仮歌を聞いてからレコーディングするんだけど、「これ、マネしてるな」って思う時があります(笑)。

田中:割と本気でマネしているよ。今度ウソップの曲を作る時も、勝平を完コピするから。

勝平:……お手柔らかに(笑)。みんなに聞かせられないのは残念です。

ONE PIECE.com特別版!!

ワンピースオフィシャルメールマガジン『グランドライン通信』では、作曲家・田中公平さんが「ウィーアー!」など主題歌作りの裏話をたくさん語ってくれました! 特別版では、勝平さんが『ワンピース』のキャラソング制作や田中公平さんの海外コンサートについて、色々聞いちゃいましたよ★

勝平:『ワンピース』で色々なキャラソングを作られている公平さんですが、どのキャラの歌が一番作りやすいですか?

田中:うん……やっぱりルフィかな。田中真弓さんの声は知り抜いているから。
キャラソンを作る時、私はキャラの背景も考えて書いているんです。

勝平:どういうことですか?

田中:たとえば、ゾロの曲を作る時、“剣豪”だからカッコイイ曲を書く…という表面的な要素で曲を作るのは嫌いなんですよ。
ゾロは昔の苦しみがあって、色んな思いがあったからこそ今カッコイイわけじゃないですか。そこも含めて書かないと深みが出ないと思っています。

勝平:逆にサンジは、つらい思いをしてだんだん壊れていくんですね(真顔)。

田中:そうなんだよ! 私もサンジの曲を作った時、サンジを壊そうって思ってた!

勝平:初期は「お手をどうぞハニー」というイケメンっぷりなのに、この間の「ONE PIECE ニッポン縦断!47クルーズCD」にいたっては鼻血出してるし(笑)。
サンジ…というより平田さんの色んな可能性を垣間見ました。

田中:平田くんはね、「バカヤロー、こんな曲書きやがってー!」と憎まれ口を叩きながら、嬉々として歌うの。

勝平:中井和哉くんも最初の頃は「歌は苦手だ」と言ってたけど、最近だんだん好きになってきているんじゃないかと思うんですよ(笑)。

田中:そうそう(笑)。だから今度コンサートやる時、絶対みんなに出てもらいたいと思っている。

勝平:絶対やりましょう! 麦わらの一味の中で、歌いたがるのは、わしと真弓さんと矢尾さんくらいかな。

田中:あと、コンサートをやるとしたら大谷さんとチョーさんもたぶん出てくれると思うよ。

勝平:そういえば、チョーさん歌上手いですよね!

田中:めちゃくちゃ上手いよ、あの人…ソウルキングだから!(笑)

勝平:ソウルキングいいな~。「NEW WORLD」とか「骨 to be wild」とか、歌もめっちゃカッコよくて、わしいつも聞いててうらやましいなと思っています(笑)。

田中:まあね、だけど“そげキング”が歌上手いと色々と問題なんじゃない?(笑)

勝平:いや、“そげキング”にもカッコイイ曲をいつかお願いしますよ~先生(笑)。
そろそろ、海外公演についても、おうかがいしないと、キャラソンだけで何時間もしゃべってしまいそうで怖いです。

田中:(笑)トートツだね。 
えっと、今延べ14カ国くらいでコンサートやりましたね。『ワンピース』だけのコンサートは5カ国かな。

勝平:今年は2月にロンドンでやりましたよね。それは向こうのオーケストラと一緒に演奏したのですか?

田中:そうなんです。ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団という由緒正しいオーケストラからオファーが来て、チケットの販売からオーケストラの手配までは全部向こうが担当しました。自慢に聞こえてしまうかもしれないけど、音楽家としてすごく誇らしいことだと思っています。

勝平:すっげぇ! 聞いてるだけで鳥肌が立つ!! 

田中:パリと香港と台湾の時はきただにくんにも来てもらったんだけど、ロンドンの時は私ひとりで「ウィーアー!」も「ウィーゴー!」も全部歌いました。

勝平:すごすぎます! ロンドンのお客さんはみんな『ワンピース』のファンですか?

田中:そう、コスプレイヤーが多くてびっくりしました。
お客さんのノリもよくて、そして、最後の「ウィーアー!」では指揮をしたんだけど、お客さんがみんな日本語で歌ってくれて…その時は感動しました。

※今年2月ロンドン公演の様子。

勝平:すごい…。ビデオでもいいから見たい!!

田中:残念だけど、撮ってない(笑)。
でも、香港の時も2000人のお客さんが立ち上がって日本語で「ウィーアー!」を歌ってくれたんですよ。
これこそ本当の文化交流だな~と、生きててよかったと思いました。
そしてパリの盛り上がりが一番すごかったかも。コスプレのお客さんも多くて、客席に麦わら帽子がたくさん見えた(笑)。

勝平:確かに、フランスでは『ワンピース』を含む日本のアニメが盛んらしいですね。

田中:もうホント、パリ最高!(笑) また行きたいな。あと台湾もいい、みんな『ワンピース』大好きだし、食べ物もおいしい。

勝平:わしも台湾行ったことがあって、食べ物ほんとにおいしいですね。日本語も通じるから安心するし。

田中:そう! 台湾コンサートの時、「日本語しかしゃべらないけど、ごめんね」と言ったら、「ダイジョウブ~」ってみんなが返事してくれたのがうれしかったなぁ。言葉が通じる安心感と言いますか…だからこそ、パリやロンドンなど、ヨーロッパに行く時は余計ドキドキします。言葉が通じるか不安だし何が起きるかわからないし。

勝平:海外公演で何かハプニングってありましたか?

田中:ある国で、リハーサルの時にピアノがなかったことがありましたね。本番はなんとかなったからよかったけど、最悪アカペラで歌って、英語で漫談でもしようかって覚悟したけどね。

勝平:なんですか、その度胸(笑)。
それにしても『ワンピース』は本当に世界的な人気を誇る作品ですよね。わしも海外に行った時、「そげキングのうた」が一番受けてました。いつもそれ歌ってと言われます。

田中:いいじゃないですか。まあ、あと「ウィーアー!」くらいは覚えといて。

勝平:「ウィーアー!」も「ウィーゴー!」もちゃんと歌えますよ!(笑)

田中:それ、平田くんにも言っといて(笑)。

勝平:平田さんも歌えると思いますよ。麦わらの一味のメンバーはなんだかんだいっていつでも歌えるようにはしていますよ、中井くんも(笑)。

田中:ホント? 今度隠し撮りしようかな(笑)。
実は「ウィーアー!」と「ウィーゴー!」以外に、世界中に愛されているもうひとつの曲があるんですよ。

勝平:えっ? なんですか?

田中:なんと「ビンクスの酒」ですよ。
「ヨホホホ、OK?」って聞いたら、「オッケーーーー!!!!」って会場が盛り上がるんですよ(笑)。
やっぱり、ブルックの物語は世界共通で感動するものなんですね。
一度、大谷さんをゲストに呼んで、ヒルルクが死ぬシーンを演じてもらったんですよ。私がピアノを弾きながらヒルルクをやってね。そしたら会場全員大泣き状態になったことがあって、すごく感動的だったんですよ。

勝平:うわ~それ反則ですよ。いつか麦わらの一味のメンバーと公平さんで、世界中回ってライブをやりたいですね。

田中:やろうよ、絶対。でも全員だと歌うのが得意じゃないメンバーもいそう(笑)。

勝平:もしくは“「麦わらの一味キャストで歌いたいメンバーだけ来ました」コンサート”にしましょうか(笑)。

田中:なんだったら、コンサートを一日中にして、『ワンピース』のキャスト入れ替わり立ち替わりにして、来た順番から歌ってもらうとか(笑)。

勝平:宴の感じで面白いですね。でしたら、「飛び入り参加一日募集中」みたいな感じで、全キャストに召集かけます。そしたら絶対ジンベエ役の宝亀克寿さんが来ちゃいます(笑)。

田中:宝亀さんも歌大好きだからね。
本当に『ワンピース』は不思議な作品ですよね。次々と楽しいことを思いついて、キャストみんなでワイワイ参加できる作品はそんなにないんだから。
それもこれも船長の真弓さんの力が大きいからだろうね。

勝平:そうですね。いい意味でいい年してヤンチャな人だから(笑)。面倒見もいいですし。

田中:そういえば、真弓さんはまだ人の台本に落書きしてる?

勝平:あっ、さすがに最近はやらなくなっています。何しろ自分の台本もよく見えなくなってきているから(笑)。
…今日は公平さんたくさんお話ができてとてもうれしかったです。ありがとうございます!!

田中:また今度話そう。今日はありがとうございました。お疲れさま!

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