ウソップの、これはホントだ!


        

「大泉スタジオに潜入!!(美術デザイン編)」の巻

2014/04/30

TVアニメ『ONE PIECE』制作に関係の深いスタッフのお話を聞くシリーズ企画in東映アニメーション大泉スタジオ!ついに最終回!!
ラストは美術デザインの吉池隆司さんの仕事に迫るぞ~!

勝平:美術デザインを担当している、吉池隆司さんに来ていただきました!
よろしくお願いします。

吉池:吉池です。よろしくお願いします。

勝平:いきなりですが、TVアニメ『ONE PIECE』における、吉池さんの担当についてお話しいただけますか?

吉池:僕は『ONE PIECE』原作のデザインに沿って絵を起こしています。
監督が、「怖そうな場所」とか「古そうな所」とか状況をつけるんですが、それに合わせて、いわゆるロケハンみたいな役割をしています。
僕が「カラーボード」という物を作って、監督には、イメージで暗くするとか赤くするとか、そういうことを見てもらっています。
例えば、この赤く燃えてるパンクハザード。漫画では当然、白黒だったんですよね。

勝平:そうですよね。あ、これは線画ですね!

吉池:はい。見取り図のようなものを、まずは線画で作成するんです。
キャラクターの設定図に近く、その美術版になりますね。
背景は背景で、別の背景のプロが大勢いますので、彼らが一斉に描きます。

勝平:そうなんですね!
背景って、キャラクターの絵ができあがった後に付けているのかなと思ってたんですけど、
世界観の設定を先に作らなきゃいけないんですね!

吉池:そうですそうです。
舞台で言うと、僕はライティングの監督と、大道具の監督とを兼ねてるような感じですね。
まず僕が漫画を読んで、多分このシーンは怖いイメージだろうな~とか考えて、見本を描きます。
それからみんなで集まって調整して、色を付けて、いろんなプロダクションにいる背景のプロに描いてもらいます。その時、みんなが好き勝手に描くとイメージがバラバラになっちゃうので、僕が描いた見本を渡すんです。
飲食店でいうと、本店の店長みたいなことですね。
支店の味つけも上手いんだけど、本店の味に合わせてね、ってことです。

勝平:わかりやすい!なるほどなぁ。
背景の色塗りは、全部コンピューターですか?

吉池:半々くらいですね。まだ絵の具でやる作業もあります。人にもよりますが、大勢で色を合わせるにはコンピューターの方が良かったりもしますね。

勝平:なるほどー!
あ、今まで宮元さんと久田さんにも聞いてきたんですが、吉池さんが好きなキャラクターは誰ですか?

吉池:えっ、好きなキャラは…なんだろうねぇ。

勝平:吉池さんが好きなキャラは、ヘラクレス大カブトムシでしょ!
さっき、美術設定のフレームに描いてあったし(笑)

(※美術設定のフレームの話は、後編「ONE PIECE.com特別版!!」でくわしく紹介!!)

吉池:うん。だってさ、あの一大事に、ルフィが虫を探しに行って朝まで帰ってこないっていうなんて、すげえなぁって思って。

勝平:なるほど(笑)
では、今までの15年を振り返った中で、一番好きなエピソードはありますか?

吉池:いっぱいありますよ。全部関わってきてますから…。
最初にチョッパーが出てきたところは、作品としていいなぁって思いましたね。
ピコピコピコーって出てきてね。「なんだ、この生き物!?」みたいな。原作を読んで「おっ!」っと思う感じ。その温度が、アニメでもちゃんと伝わってればいいなと。
原作だけじゃなく、アニメオンリーで見ている人もいて、原作とアニメ両方見ている人もいると思いますのでね。

勝平:ありがとうございます。
好きなエピソードって、わしら役者も一番ぶつけられたら困る質問だったな (笑)
個人的には、初期のエピソードがすごく微笑ましくて懐かしいんですよね。ガイモンさんが出てきた時とか!1話完結だったし。ガイモンのこと、最近ふっと思い出すんですよ。

吉池:突然出てきて、説明がなく話が進んでくっていうのもありましたよね。
『ONE PIECE』を見てる方も大人になってきてるから、気をつけないといけないですよね。漫画は難しいもんじゃないですから、説明過多にならないようにしないと。
コロッケ食いながら見て、コロッケが冷めるまで目を離させないだけの腕が我々に無いといけないのかな、と思ったり。

勝平:いや、すごい。なるほど!
すばらしい締めの言葉をありがとうございました!

ONE PIECE.com特別版!!

ワンピースオフィシャルメールマガジン『グランドライン通信』では、美術デザインの仕事やこだわり、吉池さんの好きなキャラクターについてお届けしました!
特別版では、吉池さん直筆の美術設定画を見ながら、アニメ制作の中でこっそり入れている “遊び”などを語ってもらいました!

吉池:実は僕、「シーズンごとに、美術設定のフレームを自分でつくろう!」って決めているんです。

勝平:おお!フレームから、全体のイメージが伝わってきますね。
パンクハザードって、確かにこういう色味でしたよね。

吉池:そして、そのフレームで遊ぶんです。いたずら描きをするんですよ。

勝平:いたずら描きというと?

吉池:こんな事件が起きて、こんな光があたって、こんな爆発が起きて…とか、ストーリーのいろんな出来事を、フレームに描いているんです。ぜんぶ僕が勝手に(笑)
パンクハザードでいうと、まず、麦わらの一味が竜に驚いているシーンのイメージ。その奥ではシーザーが不敵に笑っていて、ガスの気配があって。一方、錦えもんや子どもたちがいて…。その頃、シノクニが爆発し始めたり、電伝虫が砂の中で見ていたり。その一方で、ヤリスギ中将が出てきて、あとはローとルフィが同盟を組む。
それぞれの出来事のイメージを、フレームに描いて遊んでます(笑)

勝平:うわぁ!本当だ、すっげぇ~!!
それ、もう遊びじゃないじゃないですか!

吉池:遊びなんですよ。これをやるとテンションがノるわけです。
そういうの、役者さんもありますよね。

勝平:そうですねぇ。自分を持ち上げていくやり方って、人それぞれありますから。

わしらが芝居に感情をノせていくのとおんなじで、絵に感情をノせていくわけですね!
こういう設定画って、ひとつ仕上げるのにどれくらい時間かかるんですか?

吉池:絵自体は、そんなに時間かからないんですよ。
だから、アイディアが出るまでの時間次第です。
お料理作ってるみたいに、今日何のメニューにしようかって決まるまでは長いですけど、作り始めれば別にそんなでもない。

勝平:なるほど~。
この素材とこの素材を使って、カレーをつくろう!って決めたら、もうすぐ作れちゃうみたいな感じですか。

吉池:そういうことですね。

勝平:吉池さんは、『ONE PIECE』のいろんなシリーズで、設定や色を作ってきたわけですよね。
パンクハザードもあれば、ウォーターセブンもあったりと…。
その中で「ここ好きだなぁ!」って感じるシリーズはありますか?

吉池:そうですね、広がりが出たらいいなって思うシーンが多いから、
空島は嫌いじゃないですよ。
やっぱり、答えがない方が僕は好きです。見てる人に考える余地がある方がいいですよね。

勝平:確かに、そういう風に言えば空島はそうですよね。
雲の感じとか、実際これどうなんだろう、どんくらいフワフワしてるんだろうって想像します。あ、スカイピア。来ました来ました!
(ここで勝平さんが、スカイピアの美術設定画を発見!)

吉池:ここにヘラクレス描きたかっただけなんですよね(笑)

勝平:やっぱ男の子はみんなヘラクレス好きですもんね!

吉池:ここのところで、紙の束をクリップで綴じるんですよね。
だから、これは最初からクリップの絵を描いてるんですよ。

勝平:あ、えっ!?これ絵ですか!
これ元じゃないって言ってたので、カラーコピーかと思ってた。

吉池:本当に綴じたんじゃないかと思えるような絵を描いたんですよね。
それが気に入ったので、よ~く見た人だけ見つけられる場所に、このカブトムシを描きました。

勝平:いやあ、あらためて設定を見せてもらうとすごいなぁ!
物語はドレスローザに入ってきたわけですが、ドレスローザもこれまたマップが広そうですよね!
背景もどんどん描かれてるんですよね?

吉池:背景はね、毎週300枚描きます。

勝平:えっ!?毎週!?

吉池:30分のフィルムの分を、1週間で描くんじゃないからね(笑)
4つか5つの班があって、1週ずつずれながらスタートして描くんです。
1つの班の作業が2ヶ月くらいかかるから、それぞれの班から毎週毎週背景が上がってくるわけですね。

勝平:なるほど…!すごいですねぇ。ドレスローザは超大作な気配がします!!
TVアニメ放送15周年だし、盛り上がるといいですね~!

吉池さん、貴重なお話をありがとうございました!
東映アニメーションの大泉スタジオ潜入企画、TVアニメ『ONE PIECE』制作スタッフ秘話は、いったん完結!!
また別の機会に、アニメ制作現場の裏側をお届けできたらと思います。
お楽しみに!!

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