ウソップの、これはホントだ!


        

「歴代担当編集さんに『ONE PIECE』について根掘り葉掘り聞いたぞ!」の巻

2017/09/13

勝平:今日の「ウソップの、これはホントだ!」は『ONE PIECE』原作連載20周年記念ということで歴代担当編集の方がゲストに来てくれました! 初代担当の浅田さん、2代目・土生田さん、8代目担当にして現メディア担当の杉田さんです。よろしくお願いします!

浅田・土生田・杉田:よろしくお願いします!

(前列左から浅田さん、土生田さん、杉田さん)

■浅田さんが種をまき、土生田さんが広げた『ONE PIECE』!

勝平:早速『ONE PIECE』の連載当初のお話から聞いていきたいのですが、ストーリーの元となった読み切り 『ROMANCE DAWN』は、尾田先生の漫画賞応募作品だったんですか?

浅田:いえ、新人賞受賞作を含め読み切りを4本描いたあとの作品です。当時の担当編集から連載をとるためにはキャラクター性が弱いと指摘を受けて描いたのが『ROMANCE DAWN』でした。それが「週刊少年ジャンプ」の増刊号に載って人気が出たタイミングで僕が担当になったんです。

勝平:そこからすぐ連載が始まったんですか?

浅田:連載会議(3話目くらいまでのネームと設計図を提出して連載作品を決める会議)に提出しましたが、何回も落ちました。だから、当時は上司が憎かったです。なぜ、この面白さが分からないのか、と。ただ尾田先生に何回も描き直してもらいましたが、結果的には最後のネームが一番おもしろかったので、複雑な気分です。

勝平:ストーリーについて尾田先生と話し合われたりしたんですか?

浅田:先生はやりたいストーリーが明確にある方なので、まずは、それを受け取ります。それをふまえて、この話のどこがおもしろいと思った、いうことを先生に伝えるのが一番大きい仕事でした。作家さんによって編集者に求めるものは違いますが、尾田先生はセンサー役を求めていたと思います。ネームを描いた直後は「これは最高だ!」と自画自賛気味になってしまうので、そこを冷静に見てほしいのでしょうね。それは担当が変わっても同じだと思います。

土生田:その部分は今も変わっていないと思います。連載初期、尾田君に浅田がしつこいくらいに付き合う男だったのが良かったのかもしれません。尾田君の想いに応えようとしていた分、なかなか認めない編集部に対して浅田は苛立ちも多かったんでしょうね(笑)。

杉田:連載会議では、ネームを入っている封筒に上層部が意見を書くのですが、当時の『ONE PIECE』のものを見せてもらったときは驚きました。こんなに人気の漫画だから当然、絶賛ばかりだろうと思っていたら当時は賛否両論あって。『ONE PIECE』ですら、批判を受けながら始まったんだというのは驚きでした。

浅田:あまりにもわかってないと思って、連載会議前に反論書いて提出したこともあります。けど、結局最後のバージョンが一番面白かったので、悔しいです。

一同:(笑)

勝平:浅田さんは最初から『ONE PIECE』は大丈夫だという信念があったんですか?

浅田:ありました。でも僕の仕事は連載が軌道に乗るまでで、作品を広げてくれたのは土生田だと思います。

土生田:いえいえ。僕が引き継いだときは大人気漫画だし、アニメも軌道に乗っているので担当になると聞いたときは、ただただ驚きました。で、尾田君のところにあいさつに行った帰りのタクシーで浅田が「土生田さんお願いします」って泣いたんですよ…。

杉田:熱い…!

浅田:あのときは、『ONE PIECE』という作品を多くの人に知ってもらうため色々な計画を立てていたんですが、うまく提出できずに時間だけが過ぎていった後悔があったんです!

土生田:前任者が泣くほどの作品、しかも当時すでにコミックス1巻あたりの部数が200万部を超える大人気作品だったので身が引き締まりました。でも、あいさつのときに尾田君から年齢を聞かれて僕の方が年上とわかったら、「これから絶対“尾田君”と呼んでください、先生と言ったら怒ります」と。その真意は「君」と呼ぶことで原稿がおもしろくなかったときに、きちんと言える関係を維持しておきたいということだったんだと思います。それを聞いて、少し気持ちが軽くなって「この作者とだったらやっていける」と思いました。実際の仕事としては、尾田君がやりたいと言ったものを形にしていった感じですね。

勝平:浅田さんが種をまいて、土生田さんが広げたんですね。

■お互い大事にしたいものがあり、アニメプロデューサーとぶつかったこともあります(浅田)

勝平:TVシリーズの放送にあたって注文したことや意識したことはありますか?

浅田:原作とTVシリーズで1話目の内容が違う点についてぶつかった思い出があります。ルフィが冒険に出た理由がわからないと興味を持ってくれないと思ったので、原作の1話をそのまま作ってほしいと話しました。でも、アニメ制作サイドは、ドラマよりもキャラの楽しさや魅力を前面に出すべきだという判断があって話し合った記憶があります。

勝平:それぞれが作品を大事にしているということだと思いますが、何かをスタートするにはそれだけエネルギーがいるってことですよね。

浅田:その通りだと思います。僕も当時、アニメに関わるのは初めてだったので、経験値がないままに発言していましたが、今となっては制作サイドが言うことを理解できるようになりました。

勝平:キャラクターデザインについても細かく指示されたりしたんですか?

浅田:絵に関しては編集からというより尾田先生にチェックしてもらう形でしたね。どちらかというと、シナリオは全部チェックしていました。

勝平:例えば、原作では一コマで描かれている部分をアニメではもう少し詳しく描く場合などは事前に打ち合わせされたりするんですか?

土生田:僕が担当のときは、浅田が口を酸っぱくしてお願いしたことが既にアニメの制作スタッフさんにも浸透していました。なので、気になるところや設定など、必ずチェックしないといけない部分以外は基本お任せでした。

勝平:そうだったんですね。ちなみに、浅田さんはアニメに関する“あるもの”を持ってきていただいたらしいですね?

浅田: TVシリーズスタート時のキャストさん直筆コメントがありましたので、特別にお見せします!

勝平:これは貴重ですね!

(ルフィ役・田中真弓さん、ナミ役・岡村明美さん、ゾロ役・中井和哉さん アニメスタート時のコメント)

■責任重大だが、楽しく担当させてもらっている(杉田)

勝平:連載が始まってからどんどん人気があがっていましたけど、『ONE PIECE FILM STRONG WORLD』(2009)で、爆発的に人気があがったじゃないですか『ONE PIECE』って。そういう作品になってからの担当ってどうだったんですか?

杉田:責任重大だなと思いました。とにかく先輩たちが尾田さんと一緒に作り上げてきた『ONE PIECE』という作品を傷つけてはいけない、尾田さんの役に立たないといけないという気持ちでした。

土生田:緊張感も違うと思いますよ。僕らは年上だったし、大ヒットする前の普通の「尾田栄一郎」も知っているけど、杉田が出会ったときには「大先生」ですから。

勝平:もう『ONE PIECE』の尾田栄一郎ですもんね。

杉田:そうなんです。僕も土生田さんと同じで初めて尾田さんにお会いしたときは緊張しっぱなしで、「先生って言うな」と言われてたのに何度も呼んじゃって。その後も、ついつい「先生」と呼んでいたら1カ月目に「1カ月言っても直らないからお前、天然なんだな」と言われました。

一同:(笑)

杉田:ただ、その辺りからなじみ始めた気がします。勝平さんはご存じだと思うんですが、尾田さんって本当に気さくなんですよ。コミックスのSBSの印象のままでした。なので、本当に楽しく担当させてもらっています。

勝平:感想がSBSのまんまっておもしろいですね(笑)。

浅田:でも気のいいあんちゃんというところは、出会ったころから本当に変わらないと思います。

杉田:浅田さん、土生田さんに聞いても昔から全然人が変わらないというのが、逆にすごいなと思います。僕だったらえばっちゃいそうですもん。

土生田:えばりまくるよね(笑)。ずっと、「普通」の感覚を持ち続けているのが、本当にすごいと思います。

ONE PIECE.com特別版!!

ワンピースオフィシャルメールマガジン『グランドライン通信』では、連載20周年を記念して『ONE PIECE』歴代編集担当の浅田さん、土生田さん、杉田さんに連載当初のお話や、尾田先生とのエピソードなどをお伺いしました。特別版では『ONE PIECE』への想いや今後予定されているイベントについてお聞きしました!

■「勝って気持ちいい」だけではない、心揺さぶる「感動」がある(土生田)

勝平:『ONE PIECE』の好きな部分をお伺いできますか?

浅田:コビーとのエピソードが典型なんですけど、ルフィって弱い人間が勇気を振り絞って一歩踏み出したことを評価して、承認してくれるんです。弱いやつのために戦うだけだと、結局弱いやつは弱いままなんですよね。それだと、与えられているだけで、心は救われない。そういう哲学的な部分が貫かれているところが好きです。

土生田:僕は『ONE PIECE』がここまでの人気作になったのは、心揺さぶる部分が非常に強いというのが大きいと思います。読者として一番好きだったのはヒルルクの「いい人生だった!!!!」。戦って勝って気持ちいいとか、おもしろいとかももちろんありますが、ドンッとくる感動があるからこその『ONE PIECE』なのかなと。

杉田:僕は 20年経っても新鮮なことをやり続けられる漫画ってすごいなと思います。連載が続くと似たような話になりがちなところを、雲の上(空島)に行ったり、海賊船(スリラーバーク)が島だったり、読者の考えの先を行くようなワクワクする発想が好きです。あとは、少年漫画でドラマ性をもたせて人を感動させたという点が、かなり画期的な作品だと思います。

勝平:確かに少女漫画ではみますけど、ドラマ性のある少年漫画は当時、少なかったのかもしれないですね。

浅田:そういう意味で言うと、大人をかっこよく描こうという初期の裏テーマがありました。当たり前なんですけど、少年漫画って少年を立たせるために、大人がかっこ悪く描かれることがあるんです。でも、『ONE PIECE』には大人もおじいさんもおばあさんも、女性もかっこよく描くというテーマが一貫しているので、どの世代の方が見ても共感できるキャラがいると思います。

勝平:杉田さんは、子供の頃に『ONE PIECE』を読んでいた“リアル読者世代”だと思いますが、好きなエピソードってありますか?

杉田:最初に読んで感動したのはウソップのエピソードです。嘘を嘘のままで終わらせると言って、弱いのに戦うってかっこいいと思って、『ONE PIECE』を好きになるきっかけになりました。ローグタウンでゾロが三代鬼徹の呪いと自分の運、どちらが強いか試すエピソードも超かっこよかったですし、担当したドレスローザ編はネームを泣きながら読んだ覚えがあります。

勝平:そうなんですよ。編集さんの何がうらやましいって先の展開が早く読めるんですよね(笑)。

浅田:でも、絵が入っていない状態で全部読むことになるので、そういう意味ではつまらないですよ(笑)。

■京都市とのコラボイベントや1時間スペシャルなど20周年お祝い企画が目白押し!

勝平:20周年の企画についてもお話を聞きたいんですが、『ONE PIECE』の日に制定された7月22日は毎年何かやる予定ですか?

杉田:勝手に決められないことではありますが、夏が似合う作品だと思うので何かイベントができたら楽しいなぁと思っています。

勝平:日付の近いものだと京都市とのコラボイベントがありますね。

杉田:はい!「ONE PIECE 20th×KYOTO 京都麦わら道中記~もうひとつのワノ国~」と題する、京都市完全協力のイベントです。開催期間は、10月7日(金)~10月22日(日)の16日間を予定しています。麦わらの一味たちがワノ国と間違えて日本の京都に来てしまったという内容で、手配書をもらって市内10カ所を巡り各所に設置されたメッセージスタンプを集めていただくものになっています。キャラに会えたり、グッズの購入ができたり、10月7日からは旧嵯峨御書 大本山大覚寺で境内全体を回ることでひとつのストーリーが楽しめる世界初のONE PIECE展も開催します。『ONE PIECE』の世界と京都の文化や歴史を同時に味わえる仕組みなので、ぜひ楽しんでいただきたいです。

勝平:へぇ、それは楽しみですね!

杉田:京都取材の様子なども今後、公開していく予定なのでぜひチェックしていただきたいです!

勝平:それでは、最後に読者にひとことお願いします。

土生田:9月1日(金)にONE PIECE magazine Vol.3も発売されましたので、こちらもよろしくお願いします!(笑)

浅田:コレクション性も高いです!

杉田:あと10月1日(日)のTVシリーズ放送は9時から1時間スペシャルで、僕が最近一番グッときたルフィvsサンジが描かれます!

勝平:(笑)。ありがとうございます!

勝平さん、浅田さん、土生田さん、杉田さんありがとうございました! 連載20周年をお祝いすべく様々な企画が今後も予定されていますので、ONE PIECE.comや連載20周年キャンペーンサイトなどでチェックしてくださいね!

山口勝平さんに応援メッセージを送ろう!みんなからの激励や要望を大募集!!

応援メッセージを送る